地球規模の環境破壊(その2)

 オゾン層の破壊など

 オゾン層の破壊は1980年代に発見されたもので、数次の国際会議でオゾン層を破壊するフルオロカーボン(フロンという用語は日本だけ)の使用を制限する協定ができた。その意味では各国が歩調を合わせて環境を守る行為をした最初の大規模なものとして注目される。


図 39 オゾン層と紫外線の通過

 太陽のエネルギー源は原子力(核融合)だから、強い放射線や紫外線が放射される。地球が誕生して30億年の間は地表に短波長の紫外線が到達していたので、地表で生活する生物は皮膚ガンなどに対抗することができなかった。大気中に徐々に酸素が増加すると一部が成層圏でオゾンに変化し、オゾン層を形成した。オゾン層が紫外線を吸収し、地表には生物にとって危険な紫外線が届かなくなった。
 このことからオゾン層の破壊が現実に起こっており、それが人為的なものなら地球規模の環境破壊の内、もっとも危険なものとなるだろう。またオゾン層の破壊に関する教訓の一つとしては「学問は直接的な利益になるものだけに対象を絞ってはいけない」ことを示している。オゾン層の研究が何の役に立つのかと問うたら、オゾン層が破壊するまでに研究者はいなくなるからである。
 砂漠の増大、土壌の流出、森林の後退はいずれも地球規模の環境変化であるが、単純に「開発が乱開発にならないように気を配る」という意味で環境破壊として認識することは良いが、自然と人間の関係、南北問題を深く考えずに単に環境の破壊として理解させるのは適当ではない。
 砂漠は赤道における上昇気流とそれが上空で乾燥して赤道からある一定の距離離れたベルト地帯が砂漠になる。これは赤道における降雨量との関係でバランスがとれており、例えば「砂漠に雨を降らせる仕組み」を人間が作ると、赤道の気候に以上が生じると予想される。


図 40 地表の砂漠、緑地、氷河の分布

 また、地球の気温や周期的で大規模な様々な変化で砂漠の面積は増減を繰り返しており、数億年単位のものから、数百年単位のものまである。例えば、ゴビ砂漠の増大は数百年単位の増減によるものという研究結果もある。また砂漠はそれ自体で自然を形成しており、砂漠を緑化することが「環境」によいかどうかは即断できない。もし自然が人間の生活と食糧確保のためだけにあるなら、砂漠の緑化は短期的には人間の環境を良くするだろう。
 土壌の流出と森林破壊は深刻な問題であるが、大規模外材の輸入によって南の国の森林の伐採と土壌の流出をもたらしているのは主として日本であることも知っておく必要があろう。また、南の開発途上国も日本と同様に所得を高めるためには森林を伐採する必要があることも知っておかなければならない。
 紙のリサイクルは複雑な内容を含むが、環境問題のひずみ、自然と人間、南北問題を考えるのに良い教材になる。

 

第八回 終わり