6.  植物プランクトンの大量培養

 植物プランクトンを殖やし、それを大量に殺戮すれば石油の代替になる可能性がある。それをわれわれ日本人の子孫のために検討したい。植物プランクトンには悪いが・・・

 植物プランクトンは光、温度、二酸化炭素、栄養元素、そして水によって殖える。最初にこの検討は「何が正義か?」などとは関係がないことを確認しておく。森の中の魔女はやってきた少女に美味しいものを食べさせ、肥らせてから食べようする。

 可愛い少女を食べようとするのだから憎っくき魔女だが、魔女から見ればまっとうな行動である。もし少女を食べなければ自分が死ぬのだから、申し訳ないけれど食べる。どうせ命を頂くなら肥ってから頂く方が良い。これからの話も、植物プランクトンになってみれば同じである。

 人間はこれを「自然との共生」というが、それは人間が勝手にそう思うだけで、大量殺戮される植物プランクトンにとってみればとんでもないことである。それはともかく、植物プランクトンを肥らせるには光、高い温度、二酸化炭素、栄養となる元素、そして豊富な水がいる。

 まず植物プランクトンを肥らせるための水温の影響を見てみよう。下に実験データを示したが、荒川の植物プランクトンの成長は季節によって違い、水温の高い7月8月は生育量も多く、縦軸(光合成量、Cmg/chl.mg/h)は6mg程度になる。それに対して冬場はほとんど1mgだ。水温が植物プランクトンの成育に大きな影響を与えることが判る。

 次に光であるが、黒潮および親潮中の植物プランクトンの量を光の強さとの関係で測定した例をこれも下のグラフに示した。親潮が豊富な魚を運んでくるとよく言われるが、親潮0mの植物プランクトンは20kluxの時に3.5Cmg/chl.mb/hの炭素固定をする。それに対して、東京湾は約1, 黒潮は約0.6である。親潮のもとでは黒潮の6倍も育つ。

 光というのは強さばかりではなく、波長というのがある。下の図は横軸が光の波長で縦が相対的な吸収率を取った研究例だが、ラン藻では450nmぐらいの短波長の光と650nm周辺の長波長の光を良く吸収する。これは太陽の光と自分の体の中で光を物質に変える反応との関係で決まっている。

 少し難しい話になってきたが、植物でも動物でも光が必要だが、その光は太陽の光の波長分布ではなく、その生物が利用する方法によって必要な光の波長が決まる。たとえば我々の目は特定の波長しか反応しないのでその波長だけの光を使えば、光の量が少なくても明るく見える。それが省エネルギー蛍光ランプでもある。

 だからLEDを使って「植物プランクトンに感度の良い光」だけを当てれば、成長も速くなるし、さらに将来は研究を重ねることによって、肥らせようとする特定の生物だけを選択的に成長させることも可能かも知れない。科学というものは嫌になるほど次から次へと新しいことをしてくるもので、光を調整して害虫を除くなどという器用なことも可能になるかも知れない。

つづく