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自然放射線と被曝




140億年前、私たちが今、住んでいる宇宙がビッグバンで出来たとき以来、この世の「物質」は核反応(核爆発)で作られてきた。

核爆発はすさまじいので、落ち着いた元素だけではなく、不安定な元素も作るので、それが放射線を出す。だから、宇宙は放射線で溢れている.

だから、私たち地球上に住んでいる人間も動物も植物も、自然からの放射線を受ける。

それが日本では1年に1.4ミリシーベルト、世界の平均では2.4ミリシーベルトである。

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地球が誕生して以来、生物は「危険」と戦ってきたが、紫外線や放射線といった「電磁波=光」と戦いも厳しかった。なにしろ太陽も原子炉だから、そこから強い紫外線が地表に達する.

古い生物はこの紫外線と戦い、敗れ、海の底や地中に住んでいたが、偶然にも生物の呼吸でできた酸素が成層圏でオゾン層を作り、それが紫外線を防いでくれたので、生物も地表に出ることができた。

それでも、紫外線は厳しく、赤道に住む人は肌が黒くなって皮膚ガンを防ぐ.地域によって紫外線も違うので、黒人、黄色人種、そして白人ができた。

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放射線は紫外線よりエネルギーが高いので、なかなか防御が難しい。紫外線は皮膚で止まるので、皮膚だけを防御すれば良いけれど、放射線は体を貫くので、どうしても体全体を防御しなければならないからだ。

DNA(遺伝子)が傷つくと、それを複雑な酵素などで直していく.しかし、修復するための酵素を作るのにも「原料」がいる。だから

「栄養のバランスをとらなければならない」ということになる。

休養も必要だ。睡眠時間も7時間はとりたい。

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自然放射線の1.4ミリシーベルトは、その3分の2が「内部被曝」、3分の1が外部からの放射線だ。

だから、1.4を3で割ると約0.47ミリシーベルト。これは1年だから、365日×24時間でわって、1時間あたり0.05マイクロシーベルトになる。

3月12日に福島原発が爆発してから、最初の頃、政府が日本の1年1.4ミリシーベルトではなく、世界平均のデータ(2.4ミリシーベルト)だけを言った。しかも内部被曝も言わなかった。

だから、政府を信用して、精密に考えていた人が混乱した。

2.4を365×24で割ってみると、1時間に0.27マイクロになり、結構、大きな数字だからだ。

北海道や秋田など、場所によっては0.27マイクロより小さな値が出た。つまり「原発が爆発したら放射線が減った」という奇妙な結果が得られたのだ。

もちろん、日本は日本で考えなければならない。さらに関東ではローム層が地表にあるので、それで少し減って0.025ぐらいまで下がる場所もある。今でも、しかも専門家でも、1年2.4ミリシーベルトが自然放射線で、それを外部被曝と思っている人もいる。

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いずれにしても、生物は1日に0.05マイクロシーベルトぐらいの放射線を浴びてDNAが壊れても、それを直す力がある。

「自然の中で過ごすのが一番」というのは放射線でも同じだ。そして少し刺激があった方が、守る力も「リストラ」されない。(「リストラされる」というのは、放射線が無いところで長く生活すると、放射線で壊れたDNAを直す体内の物質が減ると考えられている。)

今、とても厳しい時期にあるけれど、目指すことは変わらない.

  自然放射線の中で(できるだけそれに近く)、

  栄養のバランスを考えて(酵素を作る)、

  適度に休養をとって(キズを直す)、

  毎日を楽しく(酵素を増やす)、

  感謝の気持ちを持って(不満があると酵素が減る)、

というのが実は「自分の体にも一番良い」のだから、ビッグバンで誕生したこの世も上手くいっているものだ。

(平成23611日 午前8時 執筆)


武田邦彦



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